息を吸うとき、僕は輝く世界に溶け込み、世界へと飛び立つ。背中に翼を生やして。
息を吐くとき、世界は収縮し、僕の手の上で脈打つ。バイタルスフィア。
これは、世界つまり時間と空間の、あり方と僕との関わり方を示している。
世界は極限において二つのかたちで僕に関わる。
ひとつが極限まで拡散した無として。これは未来。
もうひとつは極限まで収縮し動的な時間をも包み込んだ脈打つ真球として。これは過去。
僕は極限において二つのかたちで世界に関わる。
ひとつは無へと羽ばたく翼として。これは未来。
もうひとつは全てを愛おしむ掌として。これは過去。
その二つの極限の中間にすべては折りたたまれている。
その中間の無限の点を含む線分のなかに、人生の、生命の、妙味がある。